達磨攻め
( ^ω^) こと細やか
表現の柔軟さを学ぶ、きんgです。
親友の結婚式招待状に返信を書いていた。マニュアル通り、新郎の氏名に付いている行を二重線で消し、様と書き添える。御出席の御や、お名前のおを同様に消し、私の個人情報を明記する。うんうん、これぞThe日本人という文化ですな。
でもメッセージに「ご結婚おめでとうございます。喜んで出席させていただきます」、と書くのも血が通っていない感じがするので、ねぇ俺にも誰か紹介してよ。ぴかぴかのネクタイで参加いたします、と書いておいた。
さてさて7月に入り、蒸し暑いジメジメした日々が続いております。週間天気予報を見ると、晴れ間の無い一週間が続くと告知されました。
部屋は湿気にやられて洗濯物が乾く様子は無い。この水分で草木は容赦なく伸びまくり、お陰様で私の駐車場はうっそうとし、毎日伸びた雑草を踏み潰して足場を確保する必要がある。お陰様は日の光が要らないということなのでしょうか。
さっきシャワーに入ったのにもう体がベトベトする、これは草木同様に成長を続ける自分の体系の好もあるだろうが、気のせいではなくてこの湿度が原因なんだろう。何かメリットをくれないものなのか、お梅雨ってのは。
ヘルスにいくと、室内にジメっとした湿り気を感じることがある。水場とプレイルームに仕切りが無いので当然といえば当然である。ちょっと前まで自分とは異なるエロイ男性が、いま目の前に立っているこの女性と接していたのだろうと想像する。この人は今日すでに10時間もの間、この湿った部屋でひたすら肉棒を咥え、白濁液を受け止め、笑顔でその男性を送り出してきたのだろう。それを日々繰り返す。お金が欲しいから繰り返す。
最近そんな彼女は目標の500万円を貯めてそのお店を辞めた。彼女が真っ先に向かったのは、熊の人形を手に母の帰りをずっと待つ息子の病室であった。二人の間に言葉は不要だった。ただただ、抱き合い時間が経つのを忘れてずっと互いの心音を感じていた。やっと終わったんだ、やっとこれまでと同じ生活に戻れるんだと。
病室にオレンジ色の夕日が差し込む頃、「奥さん、それはこの前までの話しですよ。あれから何日経ったと思いますか? 800万、800万円必要ですので、もう300万円足りませんね。利子ですよ。そういう世界に足を踏み込んだんです、あなたは」
病院から30分ほど車を走らせると、自殺の名所として名は出てこないが立待岬が顔を覗かせる。この場に立ってはいるが、誰かを待っているわけではない、待っているのは死だ。下を覗き込む。岩肌は険しいが、海流は穏やかに感じる。こんな状況だが、ここから飛び降りて人は死ねるのだろうか? と冷静に考える。
毎日、毎日咥えて口の中は荒れている気がする。あごが外れてしまってからは癖になり大変だった。無言で腰を振る男、不要にここで働いている理由を聞いてくる男、やたら胸を触ってくる男、この半年に色々な男を見てきた。印象に残った顔は無いが、やたら太い棒が一番目に焼きついている。それからというもの、フランクフルトやバナナは咥えなくなった。週二で行うスタッフミーティング、その場で飲むアイスコーヒーのストローでさえ。
そういう世界に踏み込んだことを教えてくれた黒服の男が、綺麗に洗車された黒塗りの車を止めた。この男は元旦那の秘書である。助手席にはその見慣れた元旦那も座っている。「用意できたんですか? 早かったですね」、話しかけながら近づいてくる秘書の目が強張った。なぜなら両足裸足でハイヒールを並べておいてあったからだ。
「落ち着いて下さい。死んでは何もはじまりませんよ。あなたの、あなたのお子様はどうされるんですか!」
「あんたに何がわかるの? あんな夫だけど、自分の子でしょ。それなりに面倒は見てくれるわよ」
元夫が間に入ってきた。「冷静になるんだ。お前は逃げるのか?」、振り返り岬の下を覗いた。二人は焦った形相で駆け寄ってきただろう。
「ママ、苦しいよ。息ができないよ」、息子が胸元でもがいている。そう、死ぬ気などさらさら無かった。あの二人が憎い。だから、もうちょっとだけ息子に内緒で働くの。また、バナナが食べられるように。
何かそんなことをふと想像して、梅雨も悪くないと気持ちを落ち着けた。私の心はジトジトに湿っていた。
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